Q 遺贈や死因贈与をすると指定されていた財産は、遺産分割協議の前に贈与しても大丈夫でしょうか
A 包括遺贈をする場合は、遺産分割協議をしてからの手続きとなります。特定遺贈や死因贈与の場合は遺産分割協議の対象外です。
遺贈には、包括遺贈と特定遺贈があります。
包括遺贈とは、「遺産の4分の1を○○に遺贈する」というように、遺産の全てあるいは一定の割合のみ指定して、対象となる遺産を特定しない遺贈のことです。
この場合、包括受遺者は相続人と同じ権利義務を要することとなるため、相続人と受遺者との間で遺産分割協議を行わなくてはなりません。
一方、特定贈与とは「A銀行の定期預金を○○に遺贈する」といったように、特定された財産を遺贈することを指します。
特定遺贈は、遺言者が亡くなったときにその効力が生じ、特定された財産の所有権が受遺者に転移します。
よって、特定遺贈の対象になった財産は、遺産分割協議の対象外となります。
さらに死因贈与というものもあります。これは財産を残す側の人と受け取る側の人の間で、「残す側の人が死亡した時点で、事前に指定した財産を受け取る側の人に贈与する」という契約を結ぶものです。
死因贈与の財産の移転は、贈与税ではなく同じ相続税の課税対象です。
よって、死因贈与された財産に関しても、遺産分割の対象にはなりません。