できれば自分で相続手続きをしたいんだけど可能でしょうか?
専門家に頼まず、自分で相続手続きをすることはできますかと時々聞かれます。
時間や余裕があればできなくはないですが、時間や余裕がなければ専門家に任せた方がいいとお答えしています。
自分で相続手続きをするとどうなるのか、詳しくご説明いたします。
相続手続きに必要な手続きは、一般的に、
①相続人の調査
②遺産の調査
③遺産の分割方法の決定、必要ならば他の相続人との交渉
④遺産分割協議書の作成
⑤土地、預貯金の名義変更
⑥相続税の申告
などが挙げられます。
①相続人の調査
相続人の調査では、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍を集めます。亡くなられたかたが本籍を置いていた市町村に戸籍を請求しますが、請求書類を準備し、郵送に必要な郵便小為替を用意するなどの手間がかかります。また住所地と本籍地が違うこともあり、注意が必要です。
亡くなられた方が戸籍を頻繁に動かしている場合、取り寄せる戸籍の数は増え、戸籍が隙間なく揃っているか注意深く確認する必要があり、なれていないと苦労すると思われます。
②遺産の調査
遺産の調査では、亡くなられた方が所有していた不動産、預貯金、車両、貴金属などを調査することとなります。具体的な財産が不明な場合は、市役所や町村役場で名寄帳を取り寄せたり、法務局に問い合わせたり、金融機関に照会したりしなければなりません。
③遺産の分割方法
遺産の分割方法の決定では、まずは法律上決められた相続分を計算した上で、相続人が生前に特に利益を受けていた場合(特別受益)は控除し、亡くなられた方の財産を増やすことに貢献していた場合(寄与分)は加えて、具体的な相続人の相続分を計算します。
そして、具体的にどの遺産を誰が相続するのか決定することとなります。他の相続人が反対した場合には、他の相続人と交渉しなければなりませn。
また、数年来、没交渉になっている兄弟や親族と連絡し、交渉することにもなりえます。
不動産などの価値が高いものについては、その評価額をいくらにするのかを巡って相続人間で争いになることも非常に多いといえます。
④遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書の作成では、遺産を誰に相続させるかを具体的に記載することです。内容に疑義を出さず、登記や口座解約といった手続きを不備なくできるには、専門性が要求されます。
⑤土地、預貯金の名義変更
土地、預貯金の名義変更では、法務局や金融機関に申請し、亡くなられた方から相続人に名義を変更します。
必要な書類はその不動産を取得する方が自ら用意しなければなりません。また、金融機関によっては、印鑑証明書などどの金融機関でも要求される書類を用意するだけでなく、その金融機関が指定する独自の書類が必要であるなどの制約があることもあります。
⑥相続税の申告
遺産が一定の金額を超えているなど、相続税の申告をする必要がある場合は、相続税の申告もしなければなりません。
税務に関する知識や技能はご自身ではお持ちがないことが通常で、税理士へ依頼なさるのが一般的です。
このように、ご自身で相続手続きをすると弁護士費用が不要となるというメリットはありますが、多数の作業と手間がかかり、また遺産分割協議書などの書類の精度を上げるということも難しいというデメリットがあります。
それらを考えますと、専門家に任せた方がよろしいかと存じます。
なお、当事務所では相続に関するご相談が2回まで無料です。自分でどのような手続きが必要になりそうかお知りになりたい方は、ぜひ弊所にご相談ください。