NO.17 男性(63歳)・相談内容:遺言執行事件 ⇒ 遺留分請求被告事件 

依頼者:男性(60歳代)

相談内容:遺言作成及び遺言執行事件

・事情

  2年ほど前被相続人が生前に病床で遺言を書きたいという依頼があり、小職と公証人が出張して、公正証書遺言を作成しました。その際に、遺言を実現するために、弁護士に執行者になって欲しいとの依頼があり小職が遺言執行者に選任されました。

その後、遺言者被相続人が死亡し、遺言の執行者に小職が就任しました。

 相続人は4名存在し、うち1名Xが、親である被相続人にかなり迷惑(借金の肩代わり、保証人になってもらう、滞納家賃を支払ってもらう等)をかけていました。
そのため、遺言ではXの取り分は無い内容となっていましたが、相続発生後Xが自己の遺留分主張をなし、代理人弁護士をつけて遺留分を請求してきました

・経過と結論

  当方ではまず、遺産の範囲を確定するために各預銀行や証券会社、役所に預金証券不動産等の遺産を調査し、遺産目録を作成しました。その上で、遺留分額を算定して、Xの特別受益を考慮すると遺留分が存在しないか、かなり少額となる旨X代理人に主張しました。

 しかし、X代理人とは合意に至らず、小職も、遺留分請求被告事件については利益相反の関係上受任できないので別の弁護士に承継しました

 預金証券等の換価分配は順調に進みましたが、不動産について建物の合併、旧建物の滅失等複雑な現況を登記面に反映させる作業が難航しました。最終的に法務局と協議の上無事登記も完了し、受遺者相続人に引き渡すことができました。

・今回の解決事例のポイント

 相続人らは、放蕩者の相続人は当然に遺産をもらえないと考えていることが多いですが、法律の建前はどの相続人にも原則遺留分という取り分が残されています。

 親が死亡したら、兄弟も要がとれた扇のようにばらばらになりもめることはよくあることであり、本件でも各兄弟間の確執がありましたが、放蕩していたXの遺留分算定についてXが被相続人の生前から受けていた贈与等を考慮して妥当な額に収めることができ、受遺者相続人の方々にはご満足いただけました

 また、今回、被相続人が遺言を作成し、各相続人に渡す遺産を定めていたことから、相続人X以外の兄弟間では争いは起こりませんでした。さらに、遺言の中で執行者を選任していたこと、遺産を挙げていたことから、遺産の分配計算についてスピーディに行うことが出来ました。すべては、被相続人が、病の床にありながらも、残されるご家族のことを考え、行動されたからだと思います。

 ご家族の問題は多種ございますが、近年「終活」としてご自分の死の準備をされる方も増えています。多くは、ご家族に面倒をかけないようにというお気持ちからだと思いますが、お墓やお葬式に加えて、遺産についてもお考えいただければ、さらに良いのではないでしょうか。

 遺言の作成は、それほど手間がかかるものではありません。お気軽にご相談ください。

0120-115-456 受付時間 平日9:00〜19:00 土曜日相談実施

メールでのご予約も受付中です

0120-115-456 受付時間 平日9:00〜19:00 土曜日相談実施